2017.01

大きくなった松山英樹

プロ転向して間もなかった2013年の夏。松山英樹は同組で回るアンヘル・カブレラを眺めながら、「でっけー!お相撲さんと小学生みたい」と驚嘆の声を挙げた。
まだ体の線が細かった松山の目に大柄なカブレラが驚くほど大きく映ったのは当然のこと。だが、彼に「でっけー!」と言わしめたものは、肉体差のみならず、堂々と世界の舞台を渡り歩くメジャーチャンプへの憧憬の念も含まれていたのだと思う。
あれから4年。松山の肉体はすっかり頑強になり、パワーも精度も高まった。磨き抜かれた技を武器に米ツアー通算3勝。心技体のすべてを鍛え上げた松山は世界のトッププレーヤーになった。
試合会場で間近に見る「大きな松山」に興奮しながら、「ダディ、マツヤマはね、、、、」と憧れの人の戦績を得意げに父親に披露していたアメリカ人少年。その視線に、かつての松山の視線が重なって見えた。
そう、憧れの人、目指す人は、大きく強く見えるもの。かつて松山の目にも大きく強く映っていた選手たちがいた。だが、今では松山自身が大きく強くなった。
憧れのタイガー・ウッズと並んで立ったヒーロー・ワールド・チャレンジの表彰式。松山の大きさがウッズと同等か、むしろウッズより大きく感じられたのは私だけではなかったのではないか。そう思えてならない。

文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

早稲田大学政経学部卒業後、百貨店勤務、広告代理店勤務を経て1989年にフリーライターとして独立。
学生時代に行っていたゴルフ経験を活かしてゴルフジャーナリストへ。1993年に渡米。米国に常駐し、米ツアーを中心に取材活動を行なう。自身にコーチをつけてゴルフを本格的に練習するなどプレイヤーとしての視点も持ち合わせ、ツアープロや関係者たちからの信頼も厚い。新聞や雑誌、ゴルフ専門誌等で執筆する他、ラジオや講演など多方面で活躍中。